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前年度「歯の作文」講評
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平成29年度「歯の作文」講評

千代田区小学校国語教育研究部長
額賀 聡(千代田区立麹町小学校校長)
 
◆ はじめに
 平成29年度の「歯・口の健康に関する児童・生徒の作文」の募集は、数えること57回を迎えました。我が国の口腔ケアを物語る、伝統ある取組の代表と言えます。東京都学校歯科医会の皆様による児童・生徒への日並べたご指導は、まさに、歴史的な社会への裨益そのものであると実感いたし敬服するばかりです。
 
平成29年度歯の作文応募状況
  29年度 28年度
小学校 307 339
中学校 178 156
合計 485 495
 
◆ 小学生の作品について
  小学校期だからこそ芽生える思いや感情、主張などが随所に散りばめられた作品は、「物語」そのものです。読み進めているうちに、不思議なことに次の二つの点で「物語」に引き込まれました。
  まず、自分が書き手の家族になってしまうことです。それだけ書き手からの、歯の健康に関する記述を通したメッセージが鮮やかだったと言えます。次に、思わず私自身の歯・口の健康維持について思いを致してしまったことです。歯みがきの仕方ひとつとっても、作品を読みながら、はたと思い当たること頻りでした。力作揃いの「物語」から、多くのことを学んだ幸せに感謝しています。
 
 渡邉葉月さんは、端的に姉妹のむし歯の有無から書き出しています。妹の憧れでもあり目標でもある姉の存在を、時にライバルとして書き記す内容は秀逸であり実に子供らしく好感が持てます。将来のおばあちゃん姉妹への夢を語りながら文を結ぶ流れは、読み手に幸福感をも与えます。
 沖汐龍さんは、むし歯について調べたことを効果的に文章にしています。何と言っても、題名である「むし歯を科学する」がその最たる表現です。そして、家族の現況を記し、歯の矯正への決心を述べることによって、単なる調べたこと止まりにならない説得力のある文章に仕上がりました。
 木村心美さんは、歯みがき大会に参加して学んだことを、歯肉炎の見分け方、歯の磨き方、デンタルフロスの正しい使い方の三点に集約して述べていきます。その文中に使われる接続詞が効果的で、読み手を引きつけます。さらに、学んだことを家族とともに実践に移すまとめ方は流石です。
 大島花ノ子さんは、現在矯正中で苦労している点から話を進めています。特にたいへんなことを三つあげ、今に至っている様子を詳しく述べながら、なりたい自分を実現させている取組であることを表しました。その行間からは、できることを着実に継続していく直向きな姿が読み取れます。
 原はるかさんは、どうして歯みがきをするのかというこれまで感じ続けていたことから文を始めます。それを歯の役割や仕組み、むし歯になる理由などの記述につなげ、結びにむし歯予防法について述べていきます。いずれも内容が経験を土台にした平易な表現であり、子供らしさが漂います。
 浅田優羽さんは、よく知られている歯の健康に係るキャッチフレーズを取り上げて文を進めます。忙しい朝の時間に丁寧な歯みがきをしていなかった自分を振り返りつつ、噛むことの大切さに触れ、それを3年後の東京オリンピックにつなげる展開は、とてもよく工夫された構成です。
 土谷姫粋さんは、書き出しと結びに、2020年に開催される東京オリンピックを取り上げています。
 そして、現在、矯正治療をしている自身の取組を記しながら、中学生になったときの自分自身を描くことを通して、強い決意を表明する文の運びが、まさに題名に集約されていると感心しました。
 坂口優香さんは、歯並びについての悩みや疑問等を取り上げています。その上で、矯正についてわかったことを詳述し、そこからは書き手の熱い思いが読み取れました。文末では、歯科医とよく相談して矯正に取り組もうとする決意が、「私は変わります」と端的に結ばれ素晴らしい限りです。
 甘利瑞季さんは、予防歯科と歯みがき習慣の確立を取り上げ文を進めていきます。それは、アメリカ滞在で得た貴重な体験とともに、母親から教わった「細かく、優しく、丁寧に」という歯みがきの習慣として述べられ、自身の考案した8028運動へとつながっていきます。見事な展開です。
 藤島ななみさんは、染め出しの体験を綴りながら、自身の歯の健康維持に関する弱点を分析していきます。そして、弱点克服にあたっての自身の取組を、今後の決意として述べている箇所は説得力があり、それを将来の夢である助産師になることへとつなげる書きぶりに心動かされました。
 
◆ 中学生の作品について
  幼少時代から今に至る歯・口との付き合いを、自己の存在証明として記述している作品が多く、強く心を打たれました。アイデンティティーそのものである書きぶりは、出品した中学生の人生そのものであり、この先も忘れることなく大事にし続けてほしいと願っています。そして、中学生ならではの、近未来に実現したい夢の記述や思春期独特の言葉の操り方は、私自身をタイムマシンに乗せて「あの頃」に引き戻しました。出品された中学生の皆さんに、これからの我が国を確かに担
うことのできるたくましさを感じた次第です。各作品の見事な文章展開を、賞賛いたします。
 佐々木レヴィ沙羅さんは、矯正をしていた時期の様々な思いを述べながら文を進めていきます。
 その記述は、山あり谷ありの読み手を引き込む書きぶりで、文中のさりげない情景描写も効果的です。さらに、歯牙春色という言葉を文末に用いた、自身の体験に沿った主張には引き込まれました。
 
 西川雄大さんは、歯のエナメル質の記述から文を始め、それを砂糖がなかった時代につなげ、むし歯と食生活についての論を進めます。実に整然とした筋に感銘を覚えました。さらに、祖父と母親の様子を述べ、大震災の避難所生活に言及しながら歯の手入れの重要性を記したのは秀逸です。
 行德ひなたさんは、小学生の時に遭遇した事故の様子から書き始め、読み手をぐっと引きつけます。その上で、歯を狭い口の中で絶妙なバランスを保っていると形容しているのが素晴らしい記述です。題名にしている「健康の原点」としての歯に、思いを寄せている書きぶりに感心しています。
 鈴木佑佳さんは、懐かしく興味深い歯の話を書き進めます。それは、物語のページをめくっていくようで、書き手の文理に秀でる姿を浮き彫りにしていると感じました。古代の史実も登場させて、歯に祈り、願う人類の姿を記す部分は、確かに現在の私たちに向けられたメッセージだと感じます。
 澤邊薫子さんは、自分の名前(読み方)の由来から文を始めます。そして、母親や祖父を登場させて、歯への疑問を調べていくうちに新たな発見をしている自分を記し、家族の感謝へと文はつながっていきます。書き出しに戻って、自身の名前に誇りをもつという結びの記述は、流石です。
 
◆ おわりに
 学校歯科医会の皆様による学校歯科保健活動は、現在も各地区の学校歯科医の方々や保健関係者の方々の努力により、世界でも類を見ないほどのきめ細かな対応を展開し成果をあげています。学校現場に長く身を置く者として、その現状を誰よりも深く実感し謹んで感謝申し上げます。
 2020年に再び東京オリンピックが開催される我が国の、大いなる自慢の一つが、この歯科保健活動ではないでしょうか。子供たちの健全育成こそが我が国の将来を決めるとよく言われますが、日々途切れることのない、歯の健康を維持する東京都学校歯科医会の皆様の熱意あふれる取組は、まさに、日本の子供たちを力強く育てていると言えます。
 その子供たちが、健康な歯を見せながら笑顔で諸外国からの訪問者をお迎えできるのは、私たちにとってこの上もない誇りです。改めまして、東京都学校歯科医会の皆様並びに関係各位に厚く御礼を申し上げます。さらに、子供たちが歯の健康を実現する取組を続けていくことを願い、東京都学校歯科医会の益々のご発展を祈念いたし擱筆いたします。
 
 
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